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聖路加国際病院附属クリニック 予防医療センター
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   我が国において、がんは1981年から死因の第1位となっており、最近では総死亡の約3割を占めています。また、男性・女性ともにおおよそ2人に1人が一生のうちにがんと診断されると言われています。そして男性では4人に1人、女性で6人に1人ががんで死亡すると推定されています。そこで、早期にがんを発見し、早期に治療することによって、がんによる死亡を減らそうというのががん検診の目的です。しかし、最近の研究などから、がん検診においてもがんによる死亡を減らすという利益のみではなく、限界や不利益もあることがわかってきました。
   がんの死亡率を減少させるためには、どのようながんを、どのような段階で見つけたらよいのか、ということを考える必要があります。検診で見つけるべきがんは、早期に発見して、がんが広がらないうちに治療するので死亡に至る危険性を減らすことができるものであり、具体的には、胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん等が挙げられます。
   がん検診により死亡を確実に減少させることができるかどうかは、科学的な方法に基づく検証が必要です。いわゆる国が行っている住民検診では、研究によって死亡を減らすことが証明されている手法のみを使って検診が行われています。たとえば「乳がん」でいえば、2016年9月の時点では、マンモグラフィのみが証明された手法です。しかし技術向上により、死亡を減らすことまでは証明されていなくてもがんを発見することができる新たな診断方法が開発されてきています。「乳がん」では、超音波検査がそれに当たります。死亡を減らすという証拠はないので、受診者の皆様の判断で、選択していただくことになります。また、検診を受ければ受けるほどいいわけではありません。検診を受けることで得られる利益が、検診を受けることによる不利益より上回ることが大切です。
☆がん検診の利益・不利益 メリット・デメリット
●利益
@早期発見、早期治療による救命の効果
   がん検診は症状のない健康な人を対象にしていることから、早期がんが多く発見されます。早期がんはそのほとんどが治り、しかも比較手負担の軽い治療ですみます。一方、進行がんは、がんが発生する臓器によって程度が違いますが、一般的には治すことが難しくなります。また、検診でいわゆる前がん病変が発見されることがあります。子宮頸がんにおける異型上皮、大腸がんにおける大腸腺腫(ポリープ)等がその例です。このような前がん病変は、それを治療することでがんになることを防ぐことができます。
A「異常なし」「心配なし」の判定を受けることで、安心できるというのも人間ドックの利点です。
●検診の限界あるいは不利益
@検診の限界
   がんというのは、発生した時点では非常に小さく、検査で発見することはできません。そこから一定の大きさに増大したところではじめて検査で検出されるようになります。その可能性は、がんの種類や検査の精度によって異なります。また、どのように優れた検査でも、100%の精度ではありません。がんそのものが見つけにくい形であったり、見つけにくい場所にできたりする場合もありますし、人によっては周囲の臓器の状態によって病変が見えにくいことも起こりえます。これらを「偽陰性」と呼びます。しかし、がん検診で発見されるがんの多くはゆっくりと進行するものであり、定期的に検診を受けることで、その次の検診で検出し、生命を脅かす段階に至るのを回避できる可能性が高くなります。ただしがんの種類によっては非常に進行が早く、短期間で広がってしまうものもあります。したがって、検診で異常がないと判定された後、あまり時間がたっていなくても、もし何か気になる症状がでた場合には、必ず病院に行かれることをお勧めいたします。
A結果的に不必要な治療や検査を招く可能性
   がん検診によってがんの疑いがあると判定され、精密検査を行ってもがんがない場合も多くあります。これを検診の「偽陽性」といいます。この「偽陽性」はある程度までは避けようがなく、精密検査を行ってはじめてそれとわかるもので、精密検査をしないわけにはいきません。詳しく調べるためには、例えば血管に針を刺す、体の一部を切除するなど、身体的負担がかかる場合も少なくありません。病院に行く時間、診察・検査料など、時間的・経済的な負担も生じます。早期発見、早期治療のためにはある程度やむをえないことですが、結果的にみれば不必要な検査あるいは治療だった、ということもあります。
B検査に伴う偶発症や被曝の問題
   精密検査によっては、痛みなどの苦痛を引き起こしたり、人体に悪影響を及すことがあります。X線を使う検査では、放射線被曝によるがんの誘発や遺伝的影響も、極めて低い確率ではありますが、否定することはできません。1回の検査では全く問題とならない量でも、回数を重ねたり、また長い年月を経てはじめて症状が現れることもあります。我々は技術および装置の向上・改善によってその影響を最小限に抑えるよう常に努めておりますが、極めて低い可能性ではあっても、こうした偶発症が、起こる可能性も知っておかなければなりません。
C生命予後に結びつかないがん
   検診では、微小で進行がんにはならない、したがって生命に直結しないがんを見つける場合があります。これを「過剰診断」といいます。いわゆる、"たちのよいがん"であり、がんと診断されても治療をする必要がなく、そのがんで死亡することはありません。稀には時間が経つとがんが消えてしまうことさえあります。しかし、今のところ、このようながんと普通のがんを区別することはほぼ不可能です。そこで、このようながんにも手術などの治療を行わざるをえないことになります。そして、その治療によって合併症が起こる場合もあります。
D心理的な影響
   検診で「異常あり」と判定された場合、精密検査を受けることになります。精密検査の結果が出るまでは、通常何日間は、不安な日々を過ごさなくてはなりません。
E検診の精度
   同じ検査であっても専門家が行う場合と非専門家が行う場合で、検査の精度(偽陰性や偽陽性など)が違うことがあります。検診には精度管理が重要です。当センターでは、各検診について専門の資格を有する技師、医師が行っており、ドック検診の先駆者とし常に高い精度を達成すべく努力してきました。しかし人間が実施する検査である以上、どこかの段階で癌の見落としや見逃しが起こりえます。人間が関わる作業ですので、そのような不幸な事故、ミスをゼロにすることは残念ながら非常に困難と言わざるをえません。万が一そのようなことが起こってしまった場合、私たちはセンターとして、誠意をもって、対応いたします。
   がん検診は、一見健康な人に対して検査を行い、有効な治療が確立されているがんを発見し、その癌による死亡を減少させることを目的としています。症状がある方には、がん検診を選択せず、まず医療機関を受診し専門科での精査をお勧め致します。また、検診で「異常あり」「精密検査が必要」と判定された場合、精密検査を受けることが必要です。勧められた精密検査や治療を受けない場合は、がん検診を受けた意義はなくなってしまいます。
   以上のことをご理解いただき、検診を上手にお受けいただきますよう、お願い申し上げます。
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